HQB認定住宅を手がける工務店の社長インタビュ―②
IDA HOMES
ご好評をいただいております、ハイクオリティビルドWEBサイトの新連載企画「HQB認定住宅を手がける工務店の社長インタビュー」がスタート。第2回目にご登場いただくのは、神戸市に拠点をおく伊田工務店の設計部門を支える「IDA一級建築士事務所」のトップ、髙木 法さんです。長年追求され続けている「住み手にとって満足度が高い家づくり」とは――。住宅の設計にかける思いを語っていただきました。
髙木 法●たかぎ のりお／1970年大阪府生まれ。1992年アトリエ系の設計事務所を経て、住友林業で高級邸宅の設計を担当。2011年伊田工務店入社後は、木造をはじめRC造などさまざまな工法に取り組むように。極端に高低差のある崖地など「敷地を生かしきる設計」を得意とする。2016年IDA一級建築士事務所の代表取締役に就任。趣味は、サーフィン、トレーニング、料理に読書。
母親がデザイナーで、幼少の頃から建築の本や洋書に囲まれ、豊かな住環境で育ってきたという髙木さん。
社会人になり、住宅メーカーに入社してから3年間は、勉強のため休日に無給で他の設計事務所で学ぶなど、研さんを積んできたといいます。
住宅メーカーでは16年間務める中で、メーカーを選ぶ安心感とは何か、またメーカーでできないことは何なのかに気づき、「素材や工法にとらわれることなく、より自由に設計をしたい」と考えていた折に伊田工務店とご縁があり現在に至ります。
「建物は、末永く住んでいただくものですから、奇をてらうようなものではなく、また設計者の自己満足で終わる住まいではない、住み手が愛着をもてる家。経年変化が美しい家。それをスタッフみんながとことん考えて、日々、試行錯誤しながら設計に取り組んでおります。
『お施主さんにとって、住みやすく心地よいベストのプランを提供できているか』ということを、常々問いかけながら設計を手がけています。そうしたプランを導き出すために行っているのは、『敷地条件の中でいちばんよいコンセプトをお施主さんと共有する』こと。そうでないと、ただ見栄えだけで、プランの軸がぶれていくことが多分にあるんです。だからご要望を伺うときに、どこまで話を掘り下げられるかが大事だと考えています。そうしてコミュニケーションを重ね、お施主さんと一緒にコンセプトをじっくりと共有していくのが、私の建築のスタンスです。
室内とアウトドアラウンジの中間領域となるウッドテラス。夜にはライトアップされ昼とは違う表情を見せる。リゾートに滞在しているような気分に。（ハイクオリティビルド認定住宅：T邸 撮影／下村康典）
『強い建築、美しい建築』につながるのは、素材の選定だと思っています。構造上の強さはＳＥ構法をはじめ当たり前に対応できますが、経年変化や素材、性質を理解して使っていくということが、美しい経年変化を遂げ、耐久性という意味でも強い建築になっていくのではないかと。
常々思うのは、『意味のないデザイン』は、装飾でしかないということなんです。意味があるから、満足度につながっていくと思うので。10年、20年たってからも満足する、飽きのこないデザインになっているかどうか。さらに、リノベーションも鑑みて建物をつくっていかないといけないと思うのです。30年、40年は当たり前に残っていくような…。メンテナンスフリーという観点だけではなくて、経年変化も含めて、日本の風土で美しく保てる家をつくっていかなければならないと考えています。
アウトドアラウンジが窓越しに広がる開放的なダイニング。スタイリッシュな空間のアクセントとなる照明は、NYのバカラホテルを参考にした。（ハイクオリティビルド認定住宅：T邸 撮影／下村康典）
企業としては現在、『会社の中』が外からも見えるような働きかけをしていこうとしています。そうした動きによって、建築業界全体の環境がよくなり、クリアになっていくといいなと思うんです。そういう意味で、『お施主さんに寄り添い、よい建物をつくろう』と考えている他の会社と、住宅建築の世界で根を張れるよう、つながりをもってやっていきたい。あまりにも壮大すぎる話かもしれませんが、そういう同じ志をもつ建築会社と横のつながりを保ちながら、住宅を取り巻く環境を変えていきたいと思っています」。
IDA HOMES ハイクオリティビルド認定住宅
HQB認定084 『空と住まいをシームレスにつなげる天空のアウトドアラウンジ』
