歴史ある蔵を未来に繋ぎ今を楽しむリバーサイドの邸宅

敷地南側を流れる川と、築100年の歴史を持つ蔵という2つの特性を最大限に活かしたY邸。玄関には川面や植栽を感じられる地窓を設置し、川に面したリビング・ダイニングは大開口をもつ2層分の吹き抜けを設けて、個室の配された2階からも景色と自然光を取り込めるように。キッチンはキルティングのような立体的な加工を施したステンレス製で、ソファやダイニングチェア、照明器具もラグジュアリーなテイストで統一。そして蔵は取り壊さずに保存し、新築住居をコの字型に囲む形で配置。蔵の内部はゴルフ練習場と大画面ホームシアターとして機能する部屋にリノベーションしたうえ、ゲスト用の和室も設けて多目的に活用。歴史的趣と現代の贅沢なデザインが調和した住まいとなっている。

キルティングのような立体的なステンレス加工で圧倒的な存在感のキッチンは、トーヨーキッチン製。ステンレスが艶やかで、住空間をよりラグジュアリーに演出。

2階の廊下から1階リビングを見下ろす。リバーサイドの吹き抜け全面を開口にした大胆なプランで、どこからも川のせせらぎを感じ、対岸の視線から距離を保てる。

個性が際立つデザインの家具、照明であっても、キルティングモチーフ、艶のある素材など、コンセプトが統一していることで絶妙に調和している。モノトーンでまとめることでソファの青が映え、晴れた日は川の水面の色と同化してさらに美しい。

階段側の壁は石張りにして家具のインパクトに負けない重厚さを出した。片持ち階段がアートのように映える。

キッチンと一体化したカウンターは休日にはバーに変身。ペンダントライトは繊細なガラスパーツを組み合わせ「光の彫刻」と呼ばれる名作ジョガーリ。

玄関扉を開いて左手がリバーサイド。鏡を効果的に配して植栽が室内に映り込むようにした。

蔵のなかにはゴルフレンジ兼ホームシアターを設けて、家族や仲間で盛り上がるスペースにした。蔵に囲まれた二重構造のため、防音効果にも優れている。

同じく蔵の内部に設けられた和室は、ゲストルームとしても活用。離れのような感覚で静かに過ごすことができる。

撮影/伊藤 信

美しいディテール

築100年の蔵と、それを避けるようにして新築された住居棟。新旧建物が違和感なく調和し、美しい景観をつくりだしています。特に手前の1階玄関部分(建物の足元)を外壁ではなく窓にしたことで新築部分が軽やかな佇まいとなり、蔵の重厚感とうまくバランスさせている点も秀逸です。

建築知識ビルダーズ編集長 木藤阿由子

ビルド・ワークス
https://www.buildworks.co.jp/
物件情報
物件名/Y邸
所在地/京都府
延床面積/225.72㎡
1F/90.35㎡
2F/73.92㎡ 蔵/54.41㎡
家族構成/夫婦+子供2人
構造/木造SE構法
性能/耐震等級_3
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