おおらかなパティオを囲む洗練されたフラットハウス

子どもたちの成長に合わせた伸びやかな住空間を求めたSさん家族。道路側からの視線を遮る塀の間を抜けると現れるのは、広々としたパティオを囲む平屋。「リゾートにいるようなくつろぎのある暮らしを楽しみたい」というSさんの要望に応えてプランニングされた建物はL字型で、玄関を入ってパティオを左に見ながら長い廊下を進んでリビングへ。次に展開するシーンへの期待感を演出した。さらにLDKのパティオ側では真南向きの大きな窓を設ける斜めのラインを採用し、冬の採光と夏の遮蔽を両立するパッシブデザインを実現。インテリアはFIX窓やカーテンボックスを活用して無駄な線が生まれないようにしたほか、タイルや壁紙の選定にこだわり、細部まで洗練された快適な住まいとなっている。

広々としたパティオはバーベキューなど、さまざまな用途に活用しているという。斜めの変則的なL字型になったことで囲まれた感じが強まり、落ち着いて過ごせる。

愛車を屋根付きガレージに収容することは当初からの要望の1つだった。玄関右側に屋根形状や外壁の仕上げをそろえて建物と一体になるようつくり上げた。

真南に向けて開口部が連続するLDK。サッシの上下枠を隠すことですっきりとした納まりを実現した。冬の日差しは室内の奥まで取り込み、夏の高い日差しは軒でシャットアウトする。

キッチンはレンジフードや水栓、収納扉も含めてすべて黒で統一し”かたまり感”を演出している。冷蔵庫や炊飯器などの家電製品もすっきりと背面の扉内に隠せるようにした。

リビングに入るドアもガラスで天井までのサイズとして、空間のノイズになってしまう線を減らしている。テレビの後ろは繊細な縦のラインが伸びる木質パネル。上下に間接照明を施した。

玄関横に設けた和室。ユニークなデザインの障子越しに柔らかな光が差し込む。ゲスト用に設けたものだが、ご主人のお気に入りの休憩場にもなっている。

玄関ホールから廊下に進んだところにある造作の洗面。壁にタイルを貼って空間のアクセントにした。ミラーは奥さまのお気に入りのもの。

玄関を入った正面の壁にはリビングと同じリブパネルを使った。後ろに回り込むとシューズクロークがあり、そこからも室内に出入りすることができる。

撮影/伊藤 信

美しいディテール

玄関の設えは、その家の品格を表す重要なポイントです。この家では正面に壁を設けながらも、全面を隔てることなく、奥へと柔らかく誘導しています。グレー基調のインテリアと相まって、シャープでモダンでありながら、優しく上品な玄関となっています。

建築知識ビルダーズ編集長 木藤阿由子

ニケンハウジング
https://www.niken.co.jp/
物件情報
物件名/S邸
所在地/愛知県
延床面積/248.02㎡
1F/248.00㎡
家族構成/夫婦+子供3人
構造/木造SE構法
性能/耐震等級_3
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