外との絶妙なバランスをとったスリット窓が巡る邸宅 

低く抑えられた建物の外壁に、幅の異なるスギ材を縦方向に並べて張った個性的な外観。東西に細長い敷地に沿って、中庭を設けながら南側の開口部を大きくとったプランは、冬が長く雪深い地域でも家の隅々まで光を届け、快適性を高めている。A邸では北側の壁にもスリット状の開口部を設け、ガラスの固定窓とジャロジー窓を設置。さらなる採光と通風、また視線のヌケが得られている。広いLDKは、ナチュラルかつモダンなインテリア。濃淡のあるグレーのタイルがランダムに貼られた壁には、黒いスチール階段が軽やかにかかる。またサッシや扉の枠も黒とすることで、空間を適度に引き締めている。コートヤードには水盤や広いウッドデッキを設け、外での活動を楽しめるようにもしている。

階段側の壁は濃淡のあるグレーのタイルをランダムに貼ってアクセントに。ナチュラルでモダンなインテリアのまとめ役になっている。

柱や壁に視界を遮られない開放的なLDK。リゾート地に立つ別荘のような大らかさもありつつ、住宅としての居住性の高さも確保。

庭で心地よく過ごせるようにウッドデッキはゆったりと広くとった。スリットウォールが庭のデザイン性をアップしている。

庭には小さめの水盤も設け涼しげに。夕暮れはライトアップされて幻想的な雰囲気に。

玄関の扉を開いた瞬間、庭が目を楽しませる。奥の浴室からもテラスへ出て、外気浴ができるように計算。

玄関からLDKへ続く廊下は、ギャラリーのような機能をもつ。

2階は各寝室への動線を広くとり、セカンドリビングとした。将来はオフィスのように活用することも検討中。

ひときわ目を引くスタイリッシュな外観。ガレージを囲むような外構が奥行きを強調する。

撮影/山本育憲

美しいディテール

大きなワンルーム空間のLDKでは、上部への抜けを象徴する階段の見せ方が重要です。この家では、かね折れ階段の1本桁が上階へと視線を誘います。踊り場は安全面にも配慮しながら抜け感を損なわないようにアクリル板を使って仕上げている点にもこだわりを感じます。

建築知識ビルダーズ編集長 木藤阿由子

roomz 星野建築事務所
http://www.roomz.jp
roomz 星野建築事務所代表取締役社長 星野貴行さん
https://www.hqb.jp/interview/roomz
物件情報
物件名/A邸
所在地/新潟県
延床面積/216.31㎡
1F/156.69㎡
2F/59.62㎡
家族構成/夫婦+子供3人
構造/木造SE構法
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