雪国でも明るく開放感のある快適さを備えた住まい

子供の成長を考え、マンション住まいから戸建ての家で暮らすことにしたSさん。「プライバシーを守りつつ開放感を楽しみたい」という要望に応じて、一部を2階建てにして中庭を囲むコートヤードハウスに。寒冷な地域であることから、ドイツで開発された木繊維断熱材と木製トリプルサッシを採用して高い断熱性を確保したうえ、体に優しい輻射式の冷暖房を採用。そして、積雪荷重1mをクリアし耐震等級3を達成しながら、LDKでは天井高3mで柱や間仕切り壁がなく、中庭に向かう大開口をもつ開放感あふれる空間を実現。オークの床をベースに白やベージュ、グレーで仕上げた北欧モダンテイストのインテリアとともに、家族は明るい日差しが入り風が通る暮らしを日々楽しんでいる。

床はオーク。白やベージュ、グレーで仕上げたインテリアが北欧モダンの世界をつくる。ラジエーターの縦ラインがさりげなく空間をゾーニングする役目も果たす。

リビングの右手に玄関ホール、左手に階段、正面に和室が見え家族の気配が伝わる。リビングは北に向いているが、正面の壁に当たる南からの光が間接光となり室内を照らす。

中庭は優しい色調のタイル張り。リビングの開口部の中央が大きく開くので、気軽に出入りできる。

階段下のヌック。一段高くして下に間接照明を施した。ベンチのように腰掛けたり、上に座ったり、寝そべったりと、思い思いに楽しむことができるスペース。

キッチンから見たLD。家族がどこにいても目が届く。短焦点のプロジェクターで壁面に投映して楽しめる。間接照明で床を照らす壁付けの収納家具は造作。正面の収納の後ろにワークスペースがある。

ゲスト用に設けた和室。中庭を挟んでLDKの反対側にあり、静かに過ごすことができる。

外壁は透湿モルタル塗装。壁をやや高く立ち上げて屋根の傾斜を隠し、シンプルな箱型の外観にした。無駄な線を省いて整えた水平ラインが美しい。正面の壁はタイル貼り。わずかに下げて植栽スペースとすると共に、立体感を創出。プライバシーに配慮して窓は設けず、壁を植栽の影を楽しむキャンバスに。後方に回り込むと玄関がある。

ゆったりとした洗面スペース。右の格子戸を開くと和室がある。

撮影/下村康典

美しいディテール

ダイニングと水廻りを結ぶ通路に設けた階段。階段下の広縁のような居場所(ヌック)が、階段のファーストステップを兼ねているのも面白いアイディアです。また、白いスチールの手摺と輻射冷暖房機器の格子を上手くまとめて階段室を空間になじませている点も秀逸です。

建築知識ビルダーズ編集長 木藤阿由子

roomz 星野建築事務所
http://www.roomz.jp
roomz 星野建築事務所代表取締役社長 星野貴行さん
https://www.hqb.jp/interview/roomz
物件情報
物件名/S邸
所在地/新潟県
延床面積/225.10㎡
1F/171.28㎡
2F/53.82㎡
家族構成/夫婦+子供2人
構造/木造SE構法
性能/耐震等級_3
一覧に戻る
TOPに戻る