ガラスの階段を介してLDKとつながるガレージハウス

ドライブと同じほど、車のカスタマイズの時間を楽しむSさんの要望は「どこからでも愛車を眺められる家」。一方で奥さまは、調理や食事をするときにガレージが視界に入ることには、抵抗感が。設計を担当した星野貴行さんは、1階の道路側にビルドインガレージ、2階の奥側にLDKを配してスキップフロアとし、両者を斜めのガラス床とガラス階段でつなぐ大胆な計画に。ガレージに面したW.I.C.には大きな開口部を設け、机に向かいながら愛車を眺められる書斎とした。キッチンからはガレージは直接見えず、代わりに明るいリビングとカフェスペースのようなバルコニーへの眺めが広がる。ガレージを中心に据えながら家族個々の時間を大切にして、緩やかにつながる開放的なガレージハウスが実現した。

ガラスの天井を採用したガレージ。2階のLDKからガレージ内の車が見通せる。子供室へとつながる階段も透過しているため、室内への採光としても効果的。

ガラスの階段で下部への視線のヌケを実現した居心地のよいLDK。東側にはルーフバルコニー。日中は常に明るく、自然光だけで過ごすことができる。

キッチンカウンターと同じステンレス製のダイニングテーブルを造作。DKを一続きにすることで、動線の効率化と空間を開放的に感じられる効果がある。

キッチンの背面を利用して壁面収納を充実させ、機能的な空間に仕上げた。硬質なステンレスと、風合いのある床の唐木の相性がよく洗練された食空間に。

階段の踊り場を中心にして両サイドに各居室をバランスよくレイアウト。リビングエリアと子供たちの寝室、予備室の間に程よい距離感が実現している。

公道に面していない東側は、心地よいカフェスペースとなるようルーフバルコニーを設けた。内部に光を届ける開口としての役目も果たしている。

W.I.C.の奥にデスクを設置してご主人の書斎スペースに。ガレージ側に面した大きな開口により、外部の視線を気にせず採光ができるメリットも得られた。

深いブルーと斜めのラインが印象的な外壁。ガレージ天井のガラスの効果で住まいの内部とも視覚的につながる。車のメンテナンス中も孤立感がないそう。

撮影/山本育憲

美しいディテール

LDKを囲むように設けたハイサイドライトと白い壁のバランスが秀逸です。上から取り入れた自然光は白い天井や壁に反射してLDKを明るく保ちます。一方、白壁によって囲まれたプライベートな空間は、外からの視線を気にすることなくのびのびと過ごすことができます。

建築知識ビルダーズ編集長 木藤阿由子

roomz 星野建築事務所
https://www.roomz.jp/
roomz 星野建築事務所代表取締役社長 星野貴行さん
https://www.hqb.jp/interview/roomz
物件情報
物件名/S邸
所在地/新潟県
延床面積/166.45㎡
1F/79.50㎡
2F/86.95㎡
家族構成/夫婦+子供2人
構造/木造SE構法
ガレージ/23.18㎡
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