食と音楽が共演する 敷地の個性を活かした邸宅

南北に細長く隣家が両隣に迫った敷地にあって、建物はできるかぎり北側に寄せたI邸。南面のリビングには2層分の吹き抜けを配して上下階ともに大開口を設けることで、住まい全体に自然光が行き渡るように。ダイニングに隣接するキッチンはプロ仕様の調理器具を揃え、美食家のIさんが料理の腕を振るう。シックなトーンでシンプルな造形でつくられたキッチンは、料理が映えるように検討されたもの。ダイニングでは、洗練されたテーブルコーディネートでゲストをもてなす。LDKへと至るホールは、音楽家の奥さまが演奏するグランドピアノやヴィオラを設置する練習場を兼ねている。2階には、夫婦の寝室と子供室をまとめて配置。メリハリのある居住空間が、快適で刺激に溢れた日常を生んでいる。

大開口から豊かに自然光が入り明るいLDK。夜は間接照明の効果で雰囲気のある空間に変化する。キッチンは機能を重視し、壁面収納で至極シンプルに。

天井高約6mを確保したリビングは、伸び伸びとした吹き抜けの空間。ブラックウォルナットの床材に黒やグレーを合わせて、高級感のある空間に仕上げた。

プライベートダイニングでは料理のコンセプトに合わせてテーブルセッティングにもアイディアを絞る。トム・ディクソンの照明が食卓をあでやかに演出。

料理そのものが映えるよう、キッチンは色みもデザインも抑えて、極力シンプルな空間に。

吹き抜けに接している2階のキャットウォークから見下ろしたLDK。この大開口からの光が室内全体に届き、日中は照明の必要がないほど明るい。

玄関ホールの面積をできるだけ広く取り、演奏に集中できる音楽室としても活用。音楽室エリアと玄関とはシューズクローゼットと仕切り壁を設け、さりげなく目隠しを施した。一方でLDKとの境は開閉できるガラスドアにすることで広がりを感じられ、1つの空間としても使えるようにした。

ドレッサーを兼ねた奥行きのある洗面スペース。慌ただしい朝にストレスにならないよう、横長のミラーの前に並んで身支度ができる。

細長い敷地の前面をガレージとし、住居はセットバックさせて道路と距離をとっている。

撮影/下村康典

美しいディテール

玄関ホールの正面に設えられたFIX窓。玄関に自然光を取り入れるだけでなく、玄関に入ったときの視線が外に抜けることで、玄関の閉塞感を解消してくれます。秀逸なのは、外の塀の高さと樹木のバランス。まるで絵画のような美しいウェルカムウィンドウを実現しています。

建築知識ビルダーズ編集長 木藤阿由子

タイコーアーキテクト
https://taiko-architect.com/
物件情報
物件名/I邸
所在地/大阪府
延床面積/142.77㎡
1F/84.22㎡
2F/58.55㎡
家族構成/夫婦+子供1人
構造/木造SE構法
性能/耐震等級_3
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